職務経歴書を書こうとすると、急に手が止まってしまうことがあります。

「自分には書けるような実績がない」

「特別な仕事を任されたことがない」

「毎日やっていたことはあるけれど、経歴として書いてよいのかわからない」

そのように感じると、職務経歴書そのものが重く見えてしまいます。

しかし「書くことがない」と感じることと、本当に経験がないことはイコールではありません。

仕事として続けてきたこと、担当していた作業、周囲とやり取りしながら進めていたこと、困らないように気をつけていたことは、すぐに立派な文章にならなくても、職務経歴書を作るための材料になります。

最初から整った表現にしようとすると、かえって何も書けなくなります。

まずは、提出する文章を作る前の段階として、自分がしてきたことを小さく切り分けて見直していきましょう。

なお、職務経歴書の形式や必要な項目、提出方法は、求人票、企業の正式な応募案内、応募フォーム、利用する転職サービスの案内などによって異なります。この記事だけで正しい書式を判断せず、実際に応募するときは必ず公式の案内を確認してください。

この記事でわかること

  • 職務経歴書に書くことがないと感じる理由
  • 担当している業務や続けてきたことを経験として整理する方法
  • 数値で示す実績や大きな成果がなくても経験を言葉にする考え方
  • 誇張せず、事実の範囲で職務経歴書を作るときの注意点

「書くことがない」は、本当に経験がないという意味とは限らない

職務経歴書に向き合うと、「人に見せられるような経験がない」と感じることがあります。

その理由の一つは、自分が毎日していた仕事ほど、当たり前に見えやすいからです。

電話対応をする。

メールを返信する。

入力内容を確認する。

資料を整える。

社内の人に確認してから作業を進める。

期日までに作業を終える。

こうした仕事は、派手な成果としては思い浮かびにくいかもしれません。しかし、職場の仕事は、そのような日々のルーティンワークによって回っていることが多いです。

職務経歴書は、自分を実際より大きく見せるためのものではありません。これまでの仕事を、応募先が理解しやすい形に整理するための書類です。

ですから、最初に探すのは「すごい実績」ではなく、「担当していたこと」です。

自分では当たり前だと思っていたことでも、別の職場では必要な経験として見られることがあります。反対に、自分では大きく見せたいと思っても、担当していないことや達成していない成果を書くと、あとで説明しづらくなります。

まずは、評価されるかどうかを決める前に、事実として言えることを集めてみてください。

職種名ではなく、担当していた作業を切り出してみる

「事務をしていました」「販売をしていました」「営業をしていました」と職種名だけで考えると、経験がぼやけて見えてしまいます。

同じ事務でも、実際に担当していた作業は人によって違います。請求書の確認、データ入力、電話対応、備品管理、日程調整、社内資料の作成、問い合わせの一次対応など、内容はさまざまです。

同じ販売でも、接客だけではなく、在庫確認、商品陳列や売り場づくり、レジ対応、発注補助、クレームの一次対応、新人へのレクチャーなどが含まれることがあります。

職務経歴書に使う材料を見つけるときは、職種名は一度横に置いておいて、実際に対応していた作業を切り出してみます。

たとえば、次のように書き出します。

  • 毎日または定期的に行っていたこと
  • 指示や依頼をされて対応していたこと
  • 自分が確認してから次の人へ連携していたこと
  • 業務で使用していたツールやシステム
  • ミスを防ぐために気をつけていたこと
  • 困ったときに相談や確認をしていた相手

この時点では、文章としてきれいに整える必要はありません。

「午前中に注文内容を確認していた」

「週に一度、在庫数を確認していた」

「電話で受けた内容を担当者へ共有していた」

このくらいの短いメモで十分です。

担当していた期間や正式な名称があいまいな場合は、思い込みで書かず、確認できる資料や記憶の範囲で扱います。現在または過去の勤務先の機密情報、顧客情報、個人情報、未公開情報は、職務経歴書に含めないように注意をしましょう。

続けてきたことを経験として見直す

職務経歴書に書く経験というと、成果が出たことや表彰されたことを思い浮かべるかもしれません。

もちろん、応募先に提示できる成果があるなら、それは採用合否の材料になります。

ただ、仕事の経験は成果だけではありません。毎日、毎週、毎月、ルーティンワークとして担当していた業務も、経験として記載することができます。

たとえば、次のようなことです。

  • 担当業務の進捗や在庫などを定期的に確認していた
  • 締め切りや期限に合わせて書類やデータを整えていた
  • 問い合わせに対して担当として継続した対応を行い、クローズまで対応していた
  • チーム内で必要な情報をメンバーに共有する役目をしていた
  • 新しく入った人員に業務の基本的なことをレクチャーしていた
  • ミスが起きないように確認する手順を決めていた

続けてきた仕事は、自分にとっては見慣れています。そのため、「ただやっていただけ」と感じやすいです。

しかし、続けるためには、一定の理解や段取りが必要です。

毎日確認する。

期限を守る。

相手に伝わるように共有する。

ミスや間違いが起きたときに上席に報告や相談をする。

これらは、職務経歴書で経験を説明するときの土台になります。

ただし、期間や頻度は正確に扱ってください。実際より長く見せたり、担当範囲を広げて書いたりする必要はありません。

判断のヒント

大きな成果が思い浮かばないときは、「続けていたこと」を一つ書き出してみてください。毎日の確認、定期的な集計、問い合わせ対応、社内共有なども、仕事を支えていた経験としてアピールポイントにできる場合があります。

工夫したことは、小さな改善から探す

業務において「工夫したこと」と聞くと、業務全体を大きく変えたような成果や逸話を探してしまうことがあります。

でも、職務経歴書に使える工夫は、もっと小さなところから見つけることができます。

確認漏れを減らすために、チェックする順番を決めたり、項目の見直しをした。

相手が迷わないように、送信内容によってメールのテンプレートを作成した。

説明をするときに、よく聞かれたり、質問されることが多い部分から先に伝えるようにした。

忙しい時間帯に作業が重ならないよう、スケジュールを確認して前倒しで準備しておいた。

このようなことも、自分が仕事を進める中で考えて動いた経験です。

工夫を探すときは、次の順番で振り返ると整理しやすくなります。

  1. どのような状況だったか
  2. 何に困っていたか
  3. 自分が何をしたか
  4. 周囲とどのように相談や確認をしたか
  5. その後、仕事がどう進めやすくなったか

ここで大切なのは、実際の成果を大きく見せようとしないことです。

「大幅に改善した」「大きく貢献した」と言い切る必要はありません。確認できる範囲で、「確認漏れを減らすために手順を見直した」「相手に伝わりやすいよう説明の順番を工夫した」のように書けば十分です。

数字を使う場合も、確認できるものだけにしましょう。記憶があいまいな数字や、外部に出してよいかわからない社内情報をあえて使う必要はありません。

周囲と協力したことは、自分の担当範囲を切り出して記載するようにする

仕事は、一人で完結しないことが多いです。

上司、同僚、別部署、取引先、顧客など、さまざまな相手と関わりながら進めていたはずです。

ただし、周囲と協力した経験を書くときは、チーム全体の成果を自分一人の成果のように書かないことが大切です。

「チームで行ったこと」と「自分が担当したこと」を分けて考えます。

たとえば、プロジェクト全体を進めたのはチームだったとしても、自分は資料作成、日程調整、問い合わせの整理、関係者への共有、進捗確認などを担当していたかもしれません。

その場合は、「チームで取り組んだ業務の中で、資料作成と関係者への共有を担当した」のように、自分の担当範囲が伝わる表現にします。

この時に対応していた相手先の会社名や担当者の個人名、顧客名、具体的すぎる取引内容は出さないようにしましょう。必要があれば、「社内関係者」「別部署」「取引先担当者」「お客様」のように、一般的な言葉へ置き換えます。

協力した経験を整理するときは、次の点に目を向けて見てみます。

  • 誰と連携していたか
  • 自分が確認していたこと
  • 自分が共有していた情報
  • 相手に依頼していたこと
  • 困ったときに相談していたこと
  • チーム内で自分が持っていた役割

自分だけで完結した仕事ではなくても、業務に関わっていたのであれば担当していた役割はあります。

それを落ち着いて切り分けることで、職務経歴書に書きやすくなります。

数字がなくても、状況・行動・役割で記載する内容を整理する

職務経歴書では、数字があると経験を説明しやすい場合があります。

対応件数、担当人数、期間、頻度、売上、削減時間など、正確に確認や説明ができて、外部に出してよい情報であれば、アピールする材料になります。

ただ、記載できる数字がないからといって、アピール材料にできないわけではありません。

実際の数字が出せなかったり、記載できる数字が分からないときは、状況、行動、役割で整理をしてみます。

たとえば、次のような形です。

  • 繁忙期に問い合わせが増える中で、問い合わせ内容を整理して担当者へ報告や共有をしていた
  • 定期的な確認作業で、入力内容に不備がないか見直していた
  • 新しく入った人が迷わないよう、基本的な手順をレクチャーしていた
  • 複数の依頼が重なる場面で、期日を確認しながら優先順位を相談していた

数字がなくても、「どんな場面で」「何をして」「どのような役割だったか」がわかると、経験として伝わりやすくなります。

無理に数字を作る必要はありません。思い出せない数字をそれらしく書いたり、社内の非公開データを使ったりすると、あとで説明できなくなる可能性があります。

注意

数字や成果を書く場合は、正確に確認できるもの、外部に出してよい情報に絞ってください。会社の非公開情報、顧客情報、個人情報、未公開の数値を職務経歴書へ含めないようにしましょう。

応募先に近い経験を選ぶ

書き出した経験を、すべて同じボリュームで職務経歴書に取り入れる必要はありません。

応募先に合わせて、伝える経験を選ぶことも大切です。

まずは求人票や企業の正式な応募案内を見て、どのような人材を求めているのかを確認します。

仕事内容、必須条件、歓迎条件、求める人物像、働き方、利用するツールなどを見ながら、自分の経験と近い部分を探します。

同じ職種でなくても、近い経験がある場合があります。

たとえば、事務職への応募であれば、正確な入力、書類確認、社内外との連絡、期日の管理、資料作成などが関係するかもしれません。

営業職であれば、顧客とのやり取り、ヒアリング、提案準備、社内調整、記録の管理などが近い経験として見つかることがあります。

ただし、応募先に合わせることと、実際に対応してきた事実を変えることは違います。

担当していない仕事を担当したことにしたり、少し関わっただけの仕事を中心業務のように書いたりする必要はありません。

「近い経験を選ぶ」とは、事実の中から応募先に伝わりやすいものを選ぶことです。

補足

応募条件の解釈や、どの経験が評価されるかは求人や企業によって異なります。この記事だけで判断せず、求人票、企業の正式な応募案内、応募フォーム、利用する転職サービスの案内などを確認してください。

強みや自己紹介を無理に大きく見せない

職務経歴書では、自分の強みや仕事への姿勢を書く場面があります。

このとき、立派な言葉を探しすぎると、自分の経験からかけ離れてしまうことがあります。

「責任感があります」

「コミュニケーションスキルがあります」

「正確性に自信があります」

こうした言葉だけで終わると、読む側はあなたの具体的な仕事の様子を想像しにくいかもしれません。

強みを考えるときは、先に言葉を選ぶのではなく、自分が実際にしていた行動から洗い出します。

  • 周囲から任されやすかったこと
  • 自分が気をつけていたこと
  • 困ったときに取っていた行動
  • 続けるために工夫していたこと
  • 次の仕事でも生かしたいこと

たとえば、「正確性」と書きたいなら、入力内容をダブルチェックしていたこと、チェックする順番を決めていたこと、担当者に状況を確認してから進めていたことなど、具体的な行動に直します。

「調整力」と書きたいなら、複数の相手とスケジュール調整をしていたこと、依頼内容を整理して共有していたこと、困ったときには期限から逆算して早めに相談していたことなどがアピール材料になります。

無理に強く見せようとしなくても、実際に続けてきた行動があれば、それを丁寧に書く方が伝わりやすくなります。

職務経歴書の形式は、応募先の案内を確認する

職務経歴書の形式は、一つだけではありません。

時系列で書く形式もあれば、経験や職務内容ごとにまとめる形式もあります。利用する転職サービスや応募フォームによって、入力する項目が決まっているケースもあります。

この記事では、どの形式が正解であるかを決めることはできません。

応募先が指定している書式、提出ファイルの種類、入力欄の項目、文字数、添付方法などを確認してください。

履歴書と職務経歴書の両方が必要な場合もあれば、応募フォームに入力する形式の場合もあります。企業独自の質問が用意されていることもあります。

また、現職の会社の端末、会社のメール、会社のアカウント、社内資料を使って応募書類を作る場合は、勤務先のルールを確認してください。現在または過去の勤務先の資料をそのまま持ち出したり、画面や資料を無断で使ったりしないようにしましょう。

職務経歴書を作る場所や方法も、安心して作業できる環境を選ぶことが大切です。

注意

職務経歴書の形式、必要項目、提出方法は応募先によって異なります。求人票、企業の正式な応募案内、応募フォーム、利用する転職サービスの案内などを確認してから進めてください。

職務経歴書を作るときにやらない方がいいこと

書くことがないと感じると、不安を埋めるために、あとで自分が説明しにくくなる書き方を選びたくなることがあります。

ここでは、職務経歴書を作るときに避けたいことを整理します。

担当していない仕事を書き足す

応募先に近づけるために、担当していない仕事を書き足すのは避けましょう。

面接で説明できない内容は、あとから自分の負担になります。

少し関わった仕事がある場合は、「フォローをしていた」「業務の一部を担当した」「担当者から指示や確認を受けながら対応を行った」など、実際の関わり方に近い言葉を選びます。

成果や期間を大きく見せる

成果、期間、件数、人数などを、確認できない形で大きく見せる必要はありません。

周囲と協力したことを、自分一人の成果のように書くことも避けましょう。

数字があるときは、正確に確認できる範囲で記載をします。数字がないときは、状況や役割を説明すれば十分です。

会社の情報をそのまま使う

社内資料、顧客名、取引先名、未公開の数字、画面の内容などをそのまま使うのは避けてください。

職務経歴書は外部へ提出する書類です。

勤務先の機密情報、顧客情報、個人情報、未公開情報は記載内容に含めないようにしましょう。

過去の資料を見ながら整理したい場合でも、持ち出しや利用が許されているか、勤務先のルールを確認してください。

完璧な文章になるまで進められない

最初から完成した文章にしようとすると、手が止まりやすくなります。

まずは、短いメモで構いません。

担当していたこと、続けてきたこと、工夫したこと、周囲と協力したことを一つずつ書き出します。

あとから、応募先が求めている人材に近いものを選び、表現を整えていけば大丈夫です。

もし、職務経歴書を作ること自体が強い負担になっている場合は、無理に続けず休んでください。体調に影響が出ているときは、信頼できる人、医療機関、公的な相談窓口などに相談することも考えてよいと思います。

まとめ:まず、担当していたことを一つ書き出す

職務経歴書に書くことがないと感じても、経験がまったくないとは限りません。

職種名だけで考えると見えにくいことも、担当していた作業を切り出して考えてみると整理しやすくなります。

続けてきたこと。

工夫したこと。

周囲と協力したこと。

数字がなくても、状況、行動、役割で説明できること。

その中から、応募先に近い経験を選びます。

ただし、事実を大きく見せる必要はありません。担当していない仕事、確認できない成果、会社の機密情報や顧客情報を含めず、説明できる範囲でまとめることが大切です。

職務経歴書は、選考通過を保証する書類ではありません。

しかし、自分がしてきた仕事を落ち着いて整理することで、応募先へのアピールポイントを見つけやすくなります。

今日すべてを書き上げなくても構いません。

まずは、「担当していたこと」を一つだけ書き出してみてください。

そこから、続けていたこと、工夫していたこと、周囲と協力していたことへ、少しずつ範囲を広げていくことができます。

次の一歩

職務経歴書に書くことがないと感じたら、まずは提出用の文章にしようとせず、担当していた作業を一つだけメモしてみてください。短い言葉で構いません。そこから、続けてきたこと、工夫したこと、周囲と協力したことを少しずつ足していけば、経験を整理しやすくなります。